声楽家 寺尾たかひろ 公式ブログ

声楽家・寺尾たかひろの活動をご紹介します

能力(スキル)

本日は声優さんのレッスンです。

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本日は腹式呼吸によるブレスを徹底しました。私のレッスンはとても疲れると聞きますが、おそらくそれは正解です。声は体全身で出しましょう。

 

歌の旋律が美しすぎると、どうしても言葉が流れてしまい勝ち(音をなぞってしまう)なので、旋律を1回取っ払い、歌詞を喋るニュアンスで歌唱指導をします。

 

。。( ̄◇ ̄;)』

ところで、ふと気付いたのですが…
『そう言えば、朝から何も食べてなかった…。』

そこで、好物の担々麺を食べることにしました。


担々麺は焦げ茶色でした。
この焦げ茶色は、よく見ると緑色のネギや黄色いソバや、赤い唐辛子や、透明色の油などが入っているようです。

 

かつて有名な宇宙飛行士がこう言いました。
地球は青かった…」

 

確かに、青く見えたのだと思うのです。ですが、もっとよくみて欲しいのです。

地球を近くまで行ってよくみてみましょう。白い雲が見えると思うのです。

もっとよく、みてみましょう。緑色の葉っぱがあると思うのです。茶色い木があると思うのです。黄色い屋根や灰色のアスファルトだってあると思うのです。

もっと、よくよくみてみましょう。ライオンやカメレオン、カブト虫、肌色の人や、肌が黒い人や。。。色いろなものがあって、青いのです。

 

よく、
「あなたは〇〇な人だ」と決めてかかる人がいます。
そういう人には、


「では、あなたは私の何色を知っているのですか?」
と聞いてみてください。

 

もっと可能性を見付けてあげて下さい。

 

寺尾たかひろ

 

 

六三制義務教育

株式会社トリッピー表現力教室

(代官山スタジオ 発表会の風景)

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この日は、みんなの中からソリストも経験してもらいました。

みんな少し緊張気味でしたが、とても上手でしたよ!( ´ ▽ ` )ノ

 

 

この日の帰り道でのことでした。

横断歩道の信号が赤だったので、立ち止まりました。
信号が青に変わったので、横断歩道を渡りました。

『でもそれは、一体誰が決めたのでしょうか?』

 

スペインでは、

闘牛士と呼ばれる男の人が赤いマントを広げると、牛が突進して行きます。

赤は『進め!』
ではないのでしょうか??  (・_・;?

 

『赤は止まれ』で『青は進め』
それは何故であるかを、果たして子供達は本当に理解しているのでしょうか?


大人になって、右を向けと言われたから右を向いて。

走れと言われたから走って…
行進しろと言われたから行進して…

 

大人になった子供達は、
本当に幸せになれるのでしょうか?

 寺尾たかひろ

 

 

 

糸三日月 作曲/小森昭宏

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9月25日小森昭宏先生追悼コンサートで最も私の脳裏に焼き付いて離れなかったのが「糸三日月」という歌でした。ベテランの眞理ヨシコさんが歌い上げたのですが、大変素晴らしかったため、演出家の小森美巳さんに無理を言って楽譜を頂いてきました。この歌は、国を代表する日本歌曲と言っても過言ではないと私は思います。

 


糸三日月

作詞/金子静江
作曲/小森昭宏


茜色の 夕焼けの空
切り紙の 絵のように 刻まれている お月様
糸三日月 白く光る
願い事をすれば いつか 叶うと教えてくれたの お母さん

 

藍染めの 夜更けの空
いつのまにか ひっそりと 丸くなっている お月様
十五夜の月 銀色に光る
願い事はもう いつか みんな忘れてしまったの お母さん

 


(注)この楽譜の調合ですが、おそらくe-minor(ホ短調)ですので、♯が抜けて(ミスプリント)おります。少し画質が悪いのですがご勘弁を。。

 

この楽譜(ピアノ伴奏)全体を、細かく分析して行きたいと思いますが、先ずはじめに、「三日月は満月になるけれど」「自分の願いは満たされない」
という現実を伝えたい歌であると理解しておきましょう。そしてそれは、人は皆避けては通れない経験であると覚えておきましょう。全体を minor で統一している意味はそこにあるとも言えます。そして、自分がどのような悲劇を経験したとしても、母親から受けた愛情は本人の中に残っているという事です。

もっと言うと、それは教育まで遡ります。

 

さて、左手(ヘ音記号)が八分音符4つで、なだらかな音の上行を繰り返しています。これはおそらく、本人の記憶、回想、揺れている視界や、そよ吹く風(情景)等を融合させて情緒を創り出していると思われます。この前奏を聴いていると、私の体も、自然と左右に揺れてしまうのは気のせいでしょうか。

 

曲頭の入りは、右手の単旋律(H音)から始まります。

皆さんは、これに何を連想しますか?

私は「糸」です。

たった一本の糸から、2ページのスコアへと仕上がるのです。

では、「糸」とは何であるか?を考えてみて下さい。

その動機は人それぞれ違って構わないのです。

 

1段目四小節目では、構成された音符をバラ(分散)して奏でて欲しいと記されています。そしてゆったりとした裏拍のリズムは、おそらく本人の溜息と落胆を表現しているのではないでしょうか?

前奏の三小節で、どのような情景であるかを導き、
その情景を崩さず、その場に立っている人間の心理とを融合させます。

 

歌い出しの歌詞「あかね」と発音してみましょう。アクセントは何処につきますか?
「あ」でしょうか?「か」でしょうか?「ね」でしょうか?
「あかね」は、「か」にアクセントがつくのが標準語です。
あ(H音)と、か(C音)の音が半音上がるだけで、そのように聴こえます。

従いまして、この2つの音を特別意識して歌う必要は無いのです。何故なら、そのように作られているからです。これが「音程」です。

「音程」とは、音を間違わずになぞるだけではないという事です。

 

さて、皆さん。

突然ではありますが、溜息をついてみて下さい。

 

「ハア…😩」

 

四小節目で溜息をつくためには、その一拍前で息を吸う(ブレス)必要があります。

これをピアニストに伝えましょう。これが「伴奏合わせ」と呼ばれるものです。

「合わせ」とは、単に主役と脇役とのタイミングを機械的に合わせる事ではないという事です。


溜息は、下を向いてつく方が多いのではないでしょうか?それとも、溜息をついてから空を見上げましたか?どちらも正解です。この歌に登場する物語りの当事者は、四小節目で(私の勝手な感覚で申し訳ないのですが)溜息をついては下を向き、次の小節で「空を見上げた」という設定にしてみます。この動作が、mf(メゾフォルテ) dim. (デイミヌエンド)rit.(リタルダンド) といった流れで表現して欲しいということです。これらを崩さずに「あかね〜」と歌います。

これをやってのけるのがスコアリーディングであり、歌唱力と呼ばれるものです。

 

次に、

「茜色の夕焼けの空」というフレーズから、「切り紙の絵にように」というフレーズに移行します。この移行は完全5度で跳躍します。段落の切り替わりを意味します。が、ぶっきら棒に突然切り替わるのではなく、景色を崩さず「慎重に5度を跳躍していただきたい」という歌い手へのメッセージが記されています。それが mp という表記です。ここまでの解説で、空に月が現れましたでしょうか?

 

p1の一番下の段(4段目)、一小節目の3拍目、4拍目。
この箇所は糸が途切れないように次の歌詞「いとみかづき」へ繋げて欲しいという歌唱力を求めていると言えます。また、三日月が見えたという「気付き」を表しています。そうでなければ、わざわざこの譜面に記されている rubato(ルバート)の役割が何であるかの説明が付かないのです。どちらを選択するかは歌い手の自由です。これを理解した上で「いとみかずき」という言葉を声に乗せて表現したいです。

 

この箇所の当事者の心理は、確かに落胆で朧げではあっても、この歌曲のタイトルロール「糸三日月」という歌詞は、決して朧げに発音すべきではありません。それを a tempo(アテンポ)という表記と、主和音(e-minor)に戻すことで指定しています。但し、強く、鋭角的に発音しろという意味ではありません。もっと言うと、落胆した朧げな心理から「ハッキリとした白い三日月」を認識するまでの視覚的な過程を表現して欲しいということではないでしょうか。この場合の rubato から a tempo (5度から1度の和音)への移動はそれを意味します。擬態語を用いますと、「凛とする」という言葉がシックリきます。

 

次の項へ移ります。

伴奏を見ていただきたいのですが。。二小節目で、ヘ音記号、つまり低音を全て省き、ト音記号だけの世界観へと導入します。
皆さんは、この音の高さと繰り返し反芻するテンポに何を感じますでしょうか?
私には遠い記憶、うっすらと残る想い出などが甦って仕方がないのです。

それは、背中の温もりを感じた、ある時かもしれません。

両腕の温もりを感じた、ある時かもしれません。

 

あの時、母が私に何と言ってくれたのか…
あの時、母は私に何をしてくれたのか…

 

作曲家/小森昭宏先生の作品には、見たことも聴いたこともないような、特殊な楽器などは登場しません。難解複雑な和音もありません。そんなものは全くいらないんです。たった2ページで、大きな感動の渦へと導くことが出来るのです。

 

昭宏先生の楽譜を読む度に、
こう言っているように思えて仕方がないのです。

「音楽に小細工は必要ない」

 

寺尾たかひろ

 

 

音楽の力

9月25日 浜離宮朝日ホール

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わたくしの恩師、作曲家の小森昭宏先生の追悼コンサートが無事終了致しました。

ソロがあったり、デユエットがあったり、カルテットがあったり、音楽劇があったり…最後は出演者全員での大合唱(ぞうとえんそくしてみたい)でした。

本当に素晴らしい1日だったと思います。

 

本日、まず第一発目に歌わせて頂いた歌は「道」

今回は童謡界のベテラン、眞理ヨシコさんとデユエットを歌わせていただきました。

出演者皆様も勉強になるのですが、眞理さんの歌唱力はやはり圧倒的でした。

本当にいろいろ学ぶべき事が多く、何だか嬉しかったです。

 

昭宏先生は、音楽劇の劇中歌を作曲して下さっては、それを私に舞台で歌わせて下さいました。演劇集団円公演、どんどこどん、おばけリンゴ、赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス…

まだまだたくさんありますが、いつも出番の歌を作って下さったり、美味しいビールを大量にご馳走になったりと、とても良くしていただき感謝の言葉が見つかりません。

 

生前、よく私に仰っていた言葉がありました。

 

「音楽は人を元気にする薬です」

 

これは名言で、私はこの日それを体験致しました。

 

また、多くの方々との出会いと、素晴らしい作品との出会いと…

このご縁を大切にして行きたいと思っております。

 

昭宏先生の作品が素晴らしいのは言うまでもないのですが、

先生が亡くなってからも、こうして先生の音楽を通して大勢の人と人とが繋がり始めるというのは、音楽のそもそもの力とは何であるか??などと考えさせられたりします。

また、世の中の煩わしさだとか、ちょっとした嫌な出来事だとか…

 そんなものが本当にチッポケなものであると感じるようになりました。

 

 音楽とはもの凄いです!

この日を境に、私の人生が生まれ変わったと言っても過言ではありません。

 「昭宏先生、見ていて下さい」

 

寺尾たかひろ

 

 

指導力

9月10日 

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 代官山のスタジオで、チビッ子達に歌唱指導をして参りました。

この日の曲目は「ドラえもん

子供は素直だから本当に面白いです。

 

私は人から「先生」と呼ばれるのが得意な方ではありません。

何故なら、私達が先生と呼んで来た方々は皆、私達の将来の責任を担った上で指導して下さったからです。

 

私がそこまでして来ただろうか…

私はそこまでしているだろうか…

私もそこまでなれるだろうか…

 

指導とは、

覚悟のいる仕事だといつも感じております。

 

寺尾たかひろ

 

基本に返る

8月19日 スタジオヴィルトゥオージ

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ピアニスト倉本洋子先生の研究会で歌って参りました。


この日は、ロンドンから帰国した洋子先生の生徒様方(弦楽器)との共演でした。

まだ私が17歳の頃、洋子先生に「ピアノが弾けるようになりたいです!」と言った記憶があります。その流れでソルフェージュを教えて下さったり声楽のピアノ伴奏をして下さったり、本当に感謝しております。そして旦那様は、私を東京芸術大学へ導いて下さった声楽の恩師寺澤直樹先生です。寺澤先生は高校時代合唱部の顧問で、そのご縁もあり、私は先生の門を叩きました。

『音楽家になりたい!』と志し、先生の下駄箱の中にある音楽室の鍵を持ち出してはグランドピアノで猛練習をしたものでした。先生の許可を得てはいたのですが、誰もいない校舎に忍び込んでいると毎回毎回、何故だか自分が泥棒をしているみたいでちょっと不思議な感覚でしたが、それでも練習中はとても幸せでした。

私は、そもそも音符というものを全く読んだことがなく、楽器に触れた経験すらありませんでした。そんな私を一から、手取り足取り教えて下さいましたのが、お二方であります。大変厳しくも情に深い寺澤先生の声楽レッスンと、洋子先生の丁寧なソルフェージュのレッスンへの感謝の念は一生涯忘れません。

聴音の単旋律、複旋律、和声、楽典を音楽室のホワイトボードで、先生対私たち生徒数名で勝負したこともありました。(1度だけ和声聴音で勝ちました!)

 

さて、思い出話はこの辺にしまして。。。
今回の演目は以下のメニューでした。

 

⚫️Tengo nostaljia de ti
(お前が懐かしい)作曲/タタ・ナーチョ

⚫️La rosa y el sauce
(バラと柳)作曲/グアスタビーノ

⚫️死んだ男の残したものは

   作曲/武満徹

 

改めて、基本に返れた1日でした。


音楽って本当に素晴らしい!
寺尾たかひろ